出会いは、７８億分の１の奇跡。縁を大切に、社員の幸せにつながる経営を。

　京都府下で５店舗、コスモ石油株式会社のサービス・ステーションを運営する宇治石油株式会社。社長の定永建吉氏は、１８歳からこの業界に身を置く、いわゆる叩き上げの『豪傑』社長だ。会社方針として特に重視しているのは、決算賞与などの形で、利益を必ずスタッフに還元すること。「会社を支えているのは、今の若い子。生産性を担う現場の子らに頑張ってもらおうと思ったら、やっぱり会社が還元すべきやと思った。企業は利益の追求が第一やけど、一方で社員の幸せにつながるものがないと。それはやっぱり、ポストか、お金しかないやろ、ベタな話。ある意味、平等な話やろ」。言葉は悪いけど、と断りつつ、社長は自らを「猛獣使いみたいなもんや」と例える。「大企業とは違って、うちに入ってくる人間は年齢も経験も全く違うし、反発するやつもおる。わしはきついことも言うけど、宇治石油で通用する人間を作ろうと思ってないねん。世の中で通用する人間を育てようと思ってるから、いらんことも言うよ。うちで間に合うだけやったら意味ないわけや。人生長いからね」。
　座右の銘は、「縁、運、勘」。「運はもともと強いし、勘っちゅうのは経験の賜物。わしは教養もない、経験だけで生きてきた人間やけど、逆に経験だけは誰にも負けへんから。あとやっぱり大事にしとるのは、縁、出会いやね。社員もね、たまたまうちに来てくれたけど、７８億人以上おる地球上で知り合えたんは奇跡やと思うねん。それは大事にせんと損やろ。結局わし、人間が好きやねん」。御年７４歳、「人生にゴールは無い」と語る定永社長は、今日も豪快に笑う。