緑陰の寺にて ― 初夏の毘沙門堂門跡をたずねて

青もみじの参道で、心を澄ます ― 京都・毘沙門堂門跡

京都・山科の静かな山あいに佇む毘沙門堂門跡。春の桜や秋の紅葉で知られるこの寺院は、初夏の新緑、いわゆる「青もみじ」の季節にも、訪れる者の心を静かに癒してくれます。

山門をくぐると、境内は鮮やかな緑に包まれ、木漏れ日が差し込む中、石畳の参道が続きます。新緑のもみじは、秋の紅葉とは異なる清々しさを持ち、風に揺れる葉音が心地よい静寂を奏でます。本堂へと続く道の途中、苔むした石段や池のほとりでは、緑のグラデーションが目を楽しませてくれます。

毘沙門堂は、天台宗の門跡寺院であり、平安時代から続く歴史を持ちます。本尊の毘沙門天像は、厄除けや開運のご利益があるとされ、多くの参拝者が訪れます。また、秋には境内が紅葉に染まり、特に「勅使門」からの眺めは絶景として知られています。

新緑の季節、青もみじの中を歩くと、自然と心が落ち着き、日常の喧騒を忘れることができます。そして、秋の紅葉の美しさを思い描きながら、季節の移ろいを感じることができるのも、この寺院の魅力の一つです。

京都の中心部から少し離れたこの場所で、自然と歴史が織りなす静かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。新緑の毘沙門堂は、訪れる人々に穏やかな癒しを与えてくれることでしょう。


毘沙門堂門跡について

  • 正式名称:毘沙門堂門跡(びしゃもんどうもんぜき)
  • 所在地:京都府京都市山科区安朱稲荷山町18
  • アクセス
    • JR・地下鉄東西線「山科駅」から徒歩約20分
    • 京阪バス「毘沙門堂前」下車、徒歩約5分
  • 宗派:天台宗
  • 創建:703年(慶雲元年)、文武天皇の勅願により創建
  • 本尊:毘沙門天
  • 見どころ
    • 新緑の青もみじ(5月〜6月)
    • 秋の紅葉(11月中旬〜下旬)
    • 勅使門からの眺望
    • 本堂や庭園の歴史的建築物